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ポイント!
ホルモンの作用に関係する薬です。使用中にはホルモン値の測定と容態の注意深い観察を忘れずにね。
日本ではアドレスタンの名称で知られているイヌ用のトリロスタン製剤。効果と安全性に優れたイヌの副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)の新しい治療薬です。
ベトリール 120mg (30カプセル)
Vetoryl 120mg (30 Capsules)
販売価格(税込): 22570 円
オリジナル商品名 : アドレスタン、べトリール、デソパン(人間用医薬品)
製薬会社名 デクラ
申し訳ございませんが、只今品切れ中です。
適応症状 :
副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
商品紹介 :
ベトリールはイヌの副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)の治療薬として2011年に新しく認可された薬です。
有効成分のトリロスタンは、3β水酸化ステロイド脱水素酵素という酵素の働きを阻害する作用を持つ成分で、副腎皮質ホルモンの生成量を抑制し、クッシング症候群に伴うさまざまな症状を改善する効果を発揮します。またトリロスタンの作用は可逆的であり、治療中の副作用が投薬を中断することによって回復するという性質があることから、ほかの薬と比較して使用における副作用の発現が少なく、安全性に優れている点が評価されています。
クッシング症候群とは、副腎皮質から過剰な量のホルモンが分泌されることによって起こる内分泌疾患です。中でも特に高齢のイヌにおける発症率が高く、多飲多尿、多食、左右対称性の脱毛、腹部膨満といった症状を特徴とします。
副腎に形成された腫瘍が原因となる副腎性副腎皮質機能亢進症と、脳の下垂体の腫瘍が原因となる下垂体依存性副腎皮質機能亢進症とに分類され、イヌにおいては後者が8-9割を占めるとされています。
鉱質コルチコイド、糖質コルチコイドといった副腎皮質ホルモンは、イヌの体内のコレステロールが副腎皮質内でさまざまな酵素の触媒を受けることによって生成されます。これらの酵素のうち、トリロスタンの作用する3β水酸化ステロイド脱水素酵素は、副腎ステロイドホルモン生成過程の初期の段階での酸化還元反応に関わっている酵素であり、その作用の阻害は鉱質コルチコイド、糖質コルチコイドの両方の生成におよぶため、結果として副腎皮質ホルモンの過剰な分泌を効果的に抑制し、優れた治療効果をもたらします。
トリロスタンの副腎皮質ホルモンの生成抑制作用は、従来から治療に使用されているケトコナゾールと類似していますが、ケトコナゾールが生体内のさまざまな器官において重要な働きをしているチトクロームP450という酵素に働きかけるのに対し、トリロスタンは副腎や性腺に存在し、ホルモンの生成に関わっている3β-ヒドロキシステロイド脱水素酵素のみを阻害します。そのため、トリロスタンはケトコナゾールと比較して副作用が少ないとされています。
加えて、トリロスタンにはこれまでイヌのクッシング症候群の中心的治療薬として用いられてきたミトタンのような副腎組織破壊作用がないことから、ミトタンの使用において問題視されてきた副腎皮質機能低下症(アジソン病)が起こる可能性も低いとされています。
使用方法 :
※下記はべトリールの使用量のガイドラインです。正確な使用量、使用期間は獣医師の指示に従ってください。
一般的な使用開始量として、体重1kgに対して6mgを1日1回投与します。投与する量は薬効の発現状態や、下記のアウトラインに従って適宜増減します。推奨されている使用開始量は以下のようになります。
体重: 初期使用量 投与量
3kg以上10kg未満: 30mg 3-10mg/kg
10kg以上20kg未満: 60mg 3-6mg/kg
20kg以上40kg未満: 120mg 3-6mg/kg
40kg以上: 120-140mg 3-6mg/kg
- この薬の説明書(日本語訳)はこちら
- ベトリール®120mg
ハードカプセル
トリロスタン
医薬品市販承認取得者
Dechra Limited, Dechra House, Jamage Industrial Estate, Talke Pits, Stoke-on-Trent, Staffordshire, ST7 1XW, UK.
出荷管理責任者としての医薬品製造承認取者
Dales Pharmaceuticals, Snaygill Industrial Estate, Keighley Road, Skipton, North Yorkshire, BD23 2RW, UK.
動物用医薬品の商品名:
犬用 ベトリール120mgハードカプセル
1ブリスター、10カプセル
医薬品市販承認番号: イギリス:Vm 10434/4069
アイルランド:VPA 10799/020/004
適応症
犬の下垂体依存性、あるいは副腎皮質依存性副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
使用禁忌
・体重20kg未満の犬
・原発性の肝疾患/腎不全のある動物
・妊娠中や授乳中の雌犬、繁殖用の動物
・既存の貧血状態にある犬への使用によってヘマトクリット値とヘモグロビンの減少がさらに促進される可能性があることから、使用には慎重な注意が必要です。またこれらの犬への使用においては、定期的なモニタリングを行なってください。
副作用
使用中に重篤な症状やこの取扱説明書に含まれていない症状が見られた場合には、かかりつけの獣医師に報告してください。
副腎皮質ステロイド離脱症候群や低コルチゾール血症といった症状と、副腎皮質機能低下症は血清電解質の値によって区別される必要があります。
治療中に適切なモニタリングがなされなかった場合、虚脱感、元気消失、拒食、嘔吐、下痢といった医原性の副腎皮質機能低下症に関連する症状があらわれる可能性があります。
一般的にこれらの症状は、ベトリールの使用を中断することにより改善が認められています。急性のアジソン病クリーゼ(卒倒)が起こる場合があります。副腎皮質機能低下症が認められない犬においてトリロスタンを使用した場合、元気消失、嘔吐、下痢、そして拒食といった症状が報告されています
トリロスタンによる治療を受けている犬において、低コルチゾール血症によるものと思われる副腎皮質の懐死が報告されています。
トリロスタンによる治療は、無症状の腎不全の発見につながることがあります。
治療による内在性のコルチコステロイドの減少に伴い、関節炎や皮膚炎の発症が認められる場合があります。
数は少ないもののトリロスタンの治療中の突然死が報告されています。
稀に運動失調、流涎、鼓腸、筋けいれん、皮膚症状といった軽度の副作用があらわれることがあります。
使用対象動物
犬
犬の大きさと製品の投与経路、投与方法
犬に投与します。
1日1回エサと共に与えます。一般的な使用開始量として、体重1kgに対して6mgを1日1回投与することが効果的であるとされています。投与する量は個々の犬における薬効の発現状態のモニタリングに応じて適宜増減します(下記参照)。推奨されている使用開始量は以下のとおりです。
体重: 初期使用量 投与量
3kg以上10kg未満 30mg 3-10mg/kg
10kg以上20kg未満 60mg 3-6mg/kg
20kg以上40kg未満 120mg 3-6mg/kg
40kg以上 120-140mg 3-6mg/kg
臨床試験によって、ほとんどの犬が最終的には1日2-10mg/kgの投与量で安定した症状を保つことが報告されています。
しかし投与開始から24時間が経過しても症状を効果的に管理できないような場合には、1日の投与量をできる限り少量ずつ増量し、朝と夜の2回に分けて投与します。カプセルを分解したり開けたりすることはしないでください。中には、体重1kgにつき1日10mgを超える量を必要とする犬もわずかながらいるとされています。これらの犬においては通常のよりもより頻繁なモニタリングが必要とされています。
カプセルの大きさから、小型犬に対して最大限の効果が発揮されない可能性があります。
モニタリング
副腎皮質機能亢進症の診断後の治療や投与量の増量に際しては、サンプルを用いた生化学検査(電解質を含む)を実施し、ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)刺激試験を治療前および治療開始後の10日、4週間、12週間後と以降3ヵ月ごとに行なってください。ACTH(全自動副腎皮質刺激ホルモン)刺激試験による正確な結果を得るためには試験をトリロスタン投与後4-6時間以内に行なうことが重要です。
病状の進行状況を把握するための定期的な健診も上記に記載されているACTH刺激試験と同時に行なう必要があります。
トリロスタンによる治療を受けている原発性肝疾患、腎機能低下、2型糖尿病のある犬においては定期的なモニタリングを実施してください。
獣医師によって指示されるものは、10カプセルすべてが入ったブリスター単位である必要があります。
退薬期間
対象外
保管における特別な注意
・子供の目や手の届かない場所で保管してください。
・25℃以下の場所で保管してください。
・シートや外箱に記載されている使用期限を超過しているものは使用しないでください。
・ブリスターは外箱に入れた状態で保管してください。
特別な注意事項
通常、犬の副腎皮質機能亢進症は10-15歳の高齢の犬において発症する傾向が見られ、また同時に加齢に伴うほかの病気が認められることもよくあります。原発性肝疾患や腎不全のある犬にはベトリールを使用することができないため、使用前には原発性肝疾患や腎不全の有無を確認するスクリーンテストを実施することが非常に大切です。
副腎皮質機能亢進症と2型糖尿病を併発している場合には様態の特別な観察が必要となります。
副腎皮質ホルモン合成阻害薬であるミトタンによる治療を受けている犬においては、副腎皮質機能の低下が認められます。このような犬にトリロスタンを使用する場合は、ミトタンの使用停止から最低でも1ヵ月の間隔を開けることが望ましいとされています。またトリロスタンが過剰に作用する傾向があるため、治療中には副腎皮質機能をこまめに検査することが勧められています。
治療中には綿密なモニタリングを引き続き実施します。特に肝酵素、電解質、尿素、クレアチニン値に注意してください。
モニタリング中のACTH非刺激試験においては、トリロスタンによる治療を7日間中断し、投与量を減量して再開します。再開後ACTH刺激試験を14日後に繰り返してください。もし結果が非刺激性である場合には、副腎皮質機能亢進症の症状が見られるまでトリロスタンによる治療を中止します。治療再開から1ヵ月後にACTH刺激試験を実施してください。
ベトリールとほかの薬の併用において生じる弊害についての詳しい研究は実施されていません。副腎皮質機能亢進症は高齢の犬によく見られる疾患であるため、ベトリールとほかの疾患に対する治療薬とが同時に使用されるケースが多いことが推測されます。
トリロスタンをカリウム保持性利尿薬やACE阻害薬と併用する場合には、高カリウム血症が引き起こされる可能性を考慮する必要があります。トリロスタンとACE阻害薬との併用による犬の死亡(突然死を含む)が報告されているため、これらの薬剤とベトリールとの併用は獣医師による判断が必要であるとされています。
使用にあたって、副腎皮質機能亢進症であるとの診断が確定されていなくてはなりません。
治療による症状の明らかな改善が認められない場合、獣医師による再診断を実施する必要があります。投与量の増量が必ずしも必要であるとは限りません。
過剰摂取
過剰摂取によって副腎皮質機能低下症の兆侯が発現することがあります。そのような場合にはトリロスタンによる治療を中断し、症状によってコルチコステロイド、電解質の不均衡の修正、輸液療法などの補助療法に切り替えてください。
急激な過剰摂取においては嘔吐の誘発、そして活性炭の投与による対処が有効となる場合があります。
医原性副腎皮質機能低下は、治療の中断後間もなく回復することが認められています。しかしこのような症状の認められた犬の数パーセントにおいては、回復まで若干時間がかかる場合もあるとされています。また、対症療法や適切な代替療法を行なうことが必要です。医原性副腎皮質機能低下症の発現によってトリロスタンによる治療を中断した場合には、中断後1週間の間隔を開けてから再びトリロスタンによる治療を再開しますが、中断前よりも少ない量を使用することとされています。
投薬に携わる人間の使用における注意事項
トリロスタンにはテストステロンの合成を低下させるおそれがあるとされ、また抗プロゲステロン作用が認められています。
妊娠中の女性や妊娠を計画している女性はカプセルに触れないようにしてください。
思いがけずカプセルに触れてしまった場合や動物に投与した後には、石鹸で手をよく洗ってください。
カプセルの内容物が目や皮膚に刺激を与える場合があります。カプセルを分解したり開けたりしないでください。なんらかの事故によるカプセルの破損によってカプセル内の細粒が目や皮膚に接触した場合には、ただちに充分な水で洗い流してください。接触による刺激が継続する場合には医師に相談してください。
誤飲した場合にはただちに医師に連絡し、パッケージのラベルや取扱説明書を医師に提示してください。
パッケージや未使用の錠剤を処分するにあたっての注意事項
未使用の動物用医薬品や商品パッケージなどは自治体の条例に従って処分してください。
この取り扱い説明書の最終承認日
2010年12月15日
その他の情報
動物用治療薬としてのみ使用してください。
低コルチゾール血症における対症療法が必要となる場合があります。
POM-V イギリス:獣医師による要指示薬
POM アイルランド:要指示薬
獣医師の処方によってのみ提供されることが可能となっています。
イギリスとアイルランドで使用が認可されている動物用医薬品です。
この製品における詳細は医薬品市販承認取得者にお問い合わせください。
Dechra Veterinary Products Limited, Sansaw Business Park, Hadnall, Shrewsbury, Shropshire, SY4 4AS, UK