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  • 2016年10月12日

  • ペットにプロザック(Prozac)を使う理由


  • コラム出典:Why I like Prozac for Pets
    http://www.petmd.com/blogs/dailyvet/2009/August/14



    議論を呼んでいる話題がもうひとつ、向精神薬をペットに与えることについてです。あらゆる不調に対して使われ、私自身、向精神薬でペットの命を救った経験があります。

    以下の点については疑う余地はありません。動物行動主義者と一般開業獣医は今まで何十年もイヌ、ネコ、ウマ、トリに対して向精神薬を使い、かなりの成果を上げてきました。

    困った事というのはこうです。獣医と飼い主が向精神薬だけを使ってペットの複雑な「心の問題」(またの名を行動障害)に対処すると、必ずある厄介な話が出てくるのです。

    「迷惑な行動をするペットに薬なんか与える必要はない」と、訓練士や自然健康提唱者、そのほか大勢の人たちが主張します。向精神薬はペットを落ち着かせて頭をぼーっとさせるくらいのことしかできないとも言っています。この人たちの見るところ、そういうペットにとって本当に必要なのは、大いに運動し、基本訓練を受け、行動を変えることなのです。

    後半部分には心から賛成します。しかし向精神薬を与えるのは、どうしていいかわからないものにとりあえずつっかい棒をするようなものだ、という考え方には断固反対です。なぜ反対かというと、ペットの不安・攻撃・強迫行動(とりわけイヌとネコの重い脳障害)に直面し、その原因かもしれないことについて一生懸命飼い主に助言し、ペットに行動の仕方の基本訓練を受けさせているからです。訓練士やドッグスポーツインストラクター、動物行動学の専門家に問い合わせ、効果があるかもしれないあらゆることを幅広く試しているからなのです。

    ペットの行動障害の主な原因は、人間が自分たちのやり方をペットに押し付けることだと主張することはできるでしょう。でも自然の状態でも行動障害は起き、一定の割合の動物は野生であってもなくても必ず異常行動を示します。その内の多くは、もしかしたら遺伝子突然変異の結果なのかもしれません。ある種「風変わりな」行動をするようにイヌが適応したことが、イヌの家畜化の始まりだったのかもしれないとさえ仮定されています。

    この基本的な見解を受け入れるのなら、反対方向(より不安に、より攻撃的に、より強迫的になる)への遺伝子突然変異も同じように起こりうることも受け入れなければいけないでしょう。ですから、その結果である行動障害を解決するにはそれなりに運動や基本訓練、行動を変える以上のことが必要であるかもしれません。

    ペットの行動障害はすべて人間の生活様式のせいだと主張されるとしても、この動物たちにはほかに生きる場所がないことは認めなければいけません。人間の家庭の中でペットが平穏で快適に暮らせるような状況を作らなければいけないのです。ペットを人間から解放するなんてうまくいきそうもありません。それならば薬を使わない方法で症状を充分に緩和できないときはどうしますか。

    (プロザックのような)向精神薬を使うかどうか、最後の最後に決めるときによく使う判断基準があります。向精神薬を使うのは「手っ取り早い解決」を手助けするためだろうか、それともこのペットのための包括的な健康管理計画の一環としてだろうか、と自分に問いかけるのです。

    答えが後者なら、こういう向精神薬を使うことは意味があるという以上のものだと主張したいと思います。向精神薬はなくてはならないものです。