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  • 2016年04月14日

  • 定期健診以外でペットの腎臓疾患を見つけるのは難しい


  • コラム出典:Kidney Disease in Pets May Go Undetected Without Annual Exams
    http://vetmed.illinois.edu/pet_column/kidney-disease-in-pets/


    腎臓は、血液中の有害な老廃物の除去、血圧の調節補助、そしてホルモンや酵素の生成など、体内で重要な働きをしています。そして当然のことながらこの腎臓が適切に機能しなくなった場合は、多くの深刻な健康問題が出現することがあります。

    「慢性腎臓疾患には、次第に悪化していく潜行性発症があります。初期の徴候は日常的に水を多く飲むようになり、そして排尿回数が多くなることです。特に複数のペットを飼っている場合や砂箱が複数ある家庭では、この状況は特に見落としやすくなります」と語るのは、アーバナにあるイリノイ大学動物病院の動物内科の専門医であるスタンレー・ルビン医師。ほかの初期には、選択的な摂食を伴う食欲減退や、猫では急性盲目があります。

    「高血圧も腎臓疾患に伴ってみられることがある症状で、目や中枢神経、ほかの器官にも損傷を引き起こすことがあります」とルビン医師は説明しています。「慢性腎臓疾患は最終的にペットの寿命を縮めることになりかねません」。

    ペットの腎臓疾患
    腎臓はネフロンと呼ばれる何千もの微小な単位で構成されています。ネフロン内では血液からの老廃物をろ過し、ろ過された老廃物は尿として体内に残ります。この過程は血圧、体液平衡そしてナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどの電解質の調節において中心的な役割を果たしています。

    腎臓疾患を引き起こす要因は多数あります。ネフロンの多くに永久的または不可逆的減少がみられた場合に慢性腎臓疾患と診断されます。それまでは、通常は障害の原因を見つけることができません。

    この状況は犬よりも猫によくみられ、加齢と共に発症しやすいようです。この慢性疾患は犬の死亡原因の第3位、そして猫では第2位となっています。

    ルビン医師は、「腎結石やレプトスピラ症、ほかの細菌感染などの腎臓疾患を引き起こす潜在的な原因を特定し、治療することができれば、よりよい抑制の機会と好転、そして残りの腎臓機能を温存できる可能性があります」と説明しています。

    腎臓疾患の診断
    一般的に、病気は長い期間をかけて進行し、確かな原因は見つかりません。臨床試験の結果として診断されることがいちばん多いようです。

    「毎年の健康検査では、獣医は血清中クレアチニンや血中尿素窒素濃度測定を含む尿検査を行ないます」とルビン医師。「クレアチニンは筋肉代謝の副産物で、尿素はタンパク質分解の副産物です。両方とも通常は腎臓から排泄されますが、腎臓不良の場合はこれらの物質は血中に集まります。ですからこれらの濃度の上昇は、しばしば腎臓疾患があることを示します」。

    獣医たちは、犬と猫における慢性腎臓疾患の病気分類システムを作成しました。また国際獣医腎臓病研究グループ(IRIS)は、クレアチニン血清濃度、尿中たんぱく量、全身血圧に基づいて慢性腎臓疾患を4つのカテゴリーに分類しました。これは適正な治療の確定や、予後を決定するのに有用です。

    血中クレアチニン値は、慢性腎臓疾患の進行を測定するために使用される要素のひとつです。クレアチニン測定値がIRISステージ2の上限である2.5mg/dlに下がり、一般に飼い主は、この段階になるまで病気の徴候に気付きません。多飲、多尿、食欲減退、体重減少などの症状があらわれる可能性があります。不幸にも、これらの徴候があらわれた時は全腎臓の約66%は既に機能しなくなっています。

    最近、科学者たちは対称性ジメチルアルギニン(SDMA)と呼ばれる、より正確なバイオマーカーを測定する新しい血液検査を開発しました。この検査は猫の腎臓機能がわずか40%失われただけで数値の上昇を示すため、早めに疾病の診断ができます。

    「SDMAはとても感度が高く、猫には効果的です。このバイオマーカーはクレアチニンよりも17ヵ月早く上昇した数値を示すことができるのです」とルビン医師。犬の腎臓疾患では、数値の上昇はクレアチニンよりも9.5ヵ月早く起こります。

    一度慢性肝臓疾患と診断されたら、病気の進行段階に合わせた適切な治療を受けさせてください。

    ペットの腎臓疾患の管理
    「慢性腎臓疾患は治癒しませんが、対症療法をほどこすことで病気の進行を遅らせ、ペットの症状をより和らげてあげることはできます」とルビン医師。「治療でいちばん重要なのは、もし指示されている場合は低いたんぱく質量とリン酸塩の食事、必要に応じたバランスのとれた体液の補液、そして高血圧などの合併症を管理する薬です」。

    ほかの治療には透析や移植などがありますが、ペットに対しては容易に適用できないだけでなく、料金もとても高額です。「透析は急性腎臓損傷にはもっとも適していて、特定の特殊な施設で受けることができます。腎臓移植は猫の寿命を延ばせる可能性がありますが、犬では成功したことはありません」と説明するのはルビン医師。

    獣医は最初のうちは、進行性腎臓疾患を持つ猫に対して症状が改善されているか、また悪化していないかを確認するために2-4週間の頻度で定期的に体重測定と血液再検査を行ないます。状態が安定すれば、猫によっては3ヵ月ごとの再検査が必要になるかもしれません。

    「状況が安定した進行性腎臓疾患の猫は、適切な治療を施せば病気の程度に応じて何年も生きることができます」とルビン医師。ステージ1または2の慢性腎臓病の猫は診断後に4年以上長く生存する可能性もあり、同じ疾病の場合でも犬よりも猫の方が長生きするようです」。

    慢性腎臓疾患について質問がある場合は、かかりつけの獣医にお尋ねください。