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  • 2014年05月19日

  • 猫の腎臓結石は小さな解決法を伴う大問題


  • コラム出典: Cat's Kidney Stones a Big Problem with a Tiny Solution
    http://vetmed.illinois.edu/petcolumns/petcols_article_page.php?PETCOLID=2561&URL=0



    14歳を過ぎているスーはとても運のいい猫でした。2013年の秋、胸にできた進行ガンの治療のために飼い主がイリノイ大学アーバナ校獣医教育病院に連れてくる前に、既にたくさんの健康上の問題を克服していたからです。スーの幸運は、泌尿生殖器および顕微鏡手術を行なう数少ない獣医のひとりであるハイジ・フィリップス医師の患者になったときに約束されました。

    病院の獣医専門医が進行ガンの原因を追究するためにスーの胸部のレントゲンを撮り、腹部の超音波検査をした際に、左側にある腎臓から膀胱にかかる管に部分的な尿管閉塞を発見しました。

    スーのガン治療として執刀医たちは胸にある塊を取り除き、ガン専門獣医が一連の化学療法を施しましたが、再び超音波検査のために来院したとき、今度は右の尿管に成長した腎臓結石が見つかりました。腎臓結石とは腎臓に発生するシュウ酸カルシウムの塊です。さらに腎盂(尿を集める腎臓の一部)および尿管が膨張しているのが発見されました。

    「左と右の尿管に存在している閉塞が詰まり始めていたので、腎臓結石を手術で取り除かなくてはいけませんでした」と語るのはフィリップス医師。

    彼女によると、尿管の閉塞は猫によくある問題なのだとか。嘔吐、腹痛、拒食、尿管への負担、血尿などは尿管閉塞特有の症状というわけではありませんが、これらの徴候で病気に気付くことがあります。

    獣医が尿管閉塞を疑う場合、腹部超音波検査またはCT(コンピュータ断層撮影)検査を行ないます。閉塞はX線や超音波検査でも見つけることができます。

    フィリップス医師が言うには、「腎盂と尿管の幅は超音波で計ることができる」そうです。「通常、尿管内幅は1ミリの半分よりも狭いので、石やほかの物質が閉塞の原因となるのです」。

    ちなみに、紙を挟むごく普通のクリップに使用されている針金の直径は約1ミリなので、尿管の幅はこの半分よりも狭いことになります。

    スーの場合、尿管の中ほどから先、ぼうこうよりは腎臓に近い位置で発生していたため、フィリップス医師は「尿管切開術」と呼ばれる手術を施しました。この手術には特別な鉗子やハサミが必要で、また手術部位を顕微鏡で少なくとも10倍に拡大しながら行ないます。顕微鏡手術で使用される縫合材料も通常の手術に使用されるものよりも断然小さいものになります。

    「石のすぐ上の部分を切って石を取り出します」と、フィリップス医師は説明します。「血栓がなくなるまで水で洗い流し、そして顕微鏡の助けを借りて傷を注意深く閉じます」。

    術後の世話には腎不全の動物用管理と低たんぱく食の食事が含まれます。たくさんの水、ウェットフードを猫に与え、またおやつとしてドライフードだけを与えればシュウ酸カルシウム結石が形成される機会を減らすことができます。

    フィリップス医師によると、尿管石灰術を受けた猫はよくなるそうです。また腎臓の問題が適切に管理されている限りは、再び尿管が閉塞することはほとんどありません。

    手術後、スーはとても元気になりました。2回のCTスキャンの結果においても身体のどこにもガンは見当たらず、また今のところ、医者がまん延していたと思った皮膚のガンは再発していません。フィリップス医師が言うには、スーは獣医教育病院で定期検査を受け、エネルギッシュでよいQOL(生活の質)を享受しているそうです。そして現在スーの飼い主は、スーの体重を増やすべく獣医栄養士のアドバイスを受けています。

    尿管閉塞について質問がある場合は、近くの獣医に相談してみてください。