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  • 2017年04月20日

  • イヌにおける感染性の腫瘍


  • コラム出典:Sexually Transmitted Tumors in Dogs
    http://www.petmd.com/dog/conditions/cancer/c_dg_transmissible_venereal_tumor


    イヌの可移植性性器肉腫
    可移植性性器肉腫(TVT)とは、あるイヌからほかのイヌへと性感染する自然発生腫瘍です。大都市や温暖な気候の地域で症例数が多い傾向にあり、一般に無処置(未不妊・未去勢)の幼動物に認められます。

    症状と種類
    膣の表層膜や陰茎に、腫瘍状の赤い腫瘤が隆起している場合があります。この組織腫瘤は手荒に扱うと剥がれ落ちることがあり、膣または陰茎の包皮から血液が滴り落ちる場合もあります。一般に患部を頻繁に舐める様子がみられます。

    原因
    この疾患は、罹患した動物の腫瘍細胞との直接接触により生じるため、主に性行為により感染しますが、口との接触により感染することもあります。自由に歩き回る無処置のイヌでは、この感染症を獲得するリスクと拡散させるリスクが一層大きくなります。

    診断
    担当獣医から詳細な健康歴が求められます。具体的には、症状の開始時期やどれぐらい自由にイヌを歩き回わらせているか、もしくは付近を歩き回っているほかのイヌがいるかどうか、飼い主がイヌに子を産ませるつもりなのかどうかなどについて、可能な限り多くの情報を獣医に伝える必要があります。

    身体的診察は、特にイヌの性器に集中して行なわれます。腫瘤の組織サンプルが細胞診のために採取されるほか、全血球計算値、生化学プロファイル、尿検査などの標準的臨床検査のために体液サンプルも採液されます。この検査の結果は正常範囲内となるのが普通ですが、場合によっては尿サンプル中に血球またはがんの異常細胞が検出されることもあります。

    このタイプの腫瘍は、ほかの部位に転移することはめったにありません。しかしながら、獣医は悪性のがんではないこと視覚的に確認します。視覚的診断では胸部X 線や腹部X線などが用いられ、転移の有無、腫瘍の深達度(病期)、がんの有無を判定します。さらに獣医は患部のリンパ節を触診し、リンパ節にどの程度の異常が認められるのかも判定しますが、これは細胞が存在する場合の重要な識別因子となります。

    リンパ液のサンプルは精査のため検査室に送られ、がん細胞の存在の有無を判定します。がん細胞がリンパ節に認められると、多くの場合で腫瘍が良性でないという有力な指標となり、この検査結果に基づいて治療が行われます。

    治療
    動物によっては、治療せずに腫瘍が自然消失する場合もありますが、腫瘤を外科的に切除し、手術後に薬物治療を始めます。腫瘍が良性(つまりがんではないということ)であれば、一般に完全治癒につながる良好な予後が見込まれます。どの程度治療がうまくいくかの決定因子となるのは、イヌの身体的・精神的健康全般です。

    生活と症状管理
    発症した動物に薬物療法を行なった後は、全体的に予後は良好であることが多いようです。その一方で腫瘍が悪性の場合は、抗がん療法による多くの副作用があらわれ、特に長期的投与でその傾向が強く、予後リスクがはるかに高まってきます。

    例えば、がん細胞の増殖を抑制するための薬剤は正常細胞にも影響をおよぼすため、これにより免役系の保護効果が低減して感染症リスクが高まり、時には重篤となる場合もあります。イヌが合併症を引き起こさず、また迅速な回復に向かうには、正しい栄養補給計画の維持が必要です。

    担当獣医は、その後の治療と定期検査のためのフォローアップ(経過観察)治療計画を立てますが、臨床検査の結果や、イヌの治療に対する反応、ならびに治療に関連した有害な副作用が、治療計画を見直すための指針となります。