ラミプリル Ramipril
成分説明
強力な血管収縮作用や血液量増加作用を持つ生理活性物質であるアンジオテンシン(アンギオテンシン)IIの産生を抑制する、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬です。経口投与後に肝臓でその活性体であるラミプリラートに変換され、血漿内および心臓組織内におけるACEの活性部位に結合することによってその触媒作用を阻害し、生体内でのアンジオテンシンIIが産生されるのを妨げる作用があります。
ラミプリラートのACEの阻害効果は、その前駆体であるラミプリルの6倍にもおよぶとされています。投薬後数時間でその阻害効果が発現し、24時間以上継続するという即効性と持続性を持ち合わせているほか、酵素からの分離が遅いという性質から、継続投与によって血漿中濃度の高い状態が維持され、高い治療効果が持続的に発揮されるという特性があります。
ラミプリルの属するACE阻害薬は、従来からその優れた血管拡張作用と血液量減少作用によって、特に高血圧症の治療薬として広く用いられてきました。しかし最近ではその作用が心臓の組織内でのアンジオテンシンIIの産生をも抑制し、アンジオテンシンIIによる心臓のリモデリングによる機能の低下を遅らせる作用があることが認められ、心不全の治療薬としても初期のうちから積極的に取り入れられるようになってきています。
またラミプリルが阻害するACEは、血管拡張作用のあるブラジキニンという物質を分解する酵素でもあることから、ACEを阻害することは血漿中や心臓におけるブラジキニンの濃度を高め、ブラジキニンの持つ血管拡張作用や心臓リモデリング抑制作用を増強することにもなるため、より高い治療効果につながるとされています。
成分分類
心臓薬
適応
僧帽弁閉鎖不全症 うっ血性心不全
副作用
疲労、ふらつき、虚脱、低血圧症
注意事項
アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬の使用による胎児の催奇性が認められています。妊娠中の動物への使用は避けてください。
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